実際の利用場面を再現してみよう
ポスターを作る、フライヤーを作る、パンフレットを作る…こうした時にデザインソフトを使って編集して良い物を目指していくかと思います。その時に忘れてしまいがちなのが、実際の利用場面です。
ポスターであれば、壁に貼った状態。
フライヤーであれば、設置場所に置かれた状態。
パンフレットであれば、渡す場面や設置された状態。
こうしたように、その「モノ」が実際に利用されている場面を想定して、再現してみる事で、データを編集しているだけでは気が付かなかった事が見えてくる場合があります。
例えばポスターの場合、設置予定箇所に実際に貼って見たら遠くからでは文字が全く視認できなかった…とか、壁の色と同化してしまって、全然目を引かないとか…目に入ったとしても情報量が多すぎて見た方に覚えてもらえないとか…
広告は作る事が目的ではなく、利用して求める成果を出す事が目的です。あくまでも目的達成の手段の一つでしかありません。
どんなに時間をかけてカッコいいと思う物を作っても、本来の目的が果たせなければ何にもなりませんね…
作ってみて、出来たら手持ちのプリンターで印刷して設置してみましょう。
もしA1などが出力できなくても、何分割かして貼り合わせれば再現できます。
試作が出来たら設置してみて、そこで見つけた問題点を修正していけば、より良い物ができますし、求める効果が得られるでしょう。
また、画面の中ではよく見えても実際に印刷すると、インクや紙質によって印象が全く異なります。
画面上では光の三原色(赤・緑・青)で再現されますが、印刷する場合は色の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー・黒)で再現されます。色を再現する方法が異なるので、色味に違いできるというわけです。
画面の中で完璧にできたと思っていても、試しに印刷してみると、色味がなんだか違う…文字が小さすぎる又は大きすぎるなどの違和感があるかと思うので、それらをチェックしてお直ししていくとよいでしょう。
印刷する事で得られる情報もある
画面上だけでは文字のサイズ感や全体の色相がなかなかつかめません。文字が小さすぎて読めなかったり、上手く印刷できずにつぶれてしまった…という事もあるかもしれません。反対に大きすぎた…なんてことも!
小さな文字を大きくすれば、当然ながら紙面のスペースを圧迫します。
大きな文字を小さくすれば、紙面に大きな余白ができてしまいますね。
印刷する事を目的とした場合、きちんと紙に印刷して、手元に置いてみる・壁に貼って見る・離れて眺めてみる。といった事をやってみると、不足していた情報がより鮮明になってきたり、直すべき箇所がなんとなく掴めたりします。
出来たら試してみる
完璧でなければ見せたくない・出したくないという意見もあるでしょう。それもよくわかります。途中の段階で見せても、良い反応がない事もわかりますし、何より恥ずかしい気持ちもあるものです。
ですが時間をかけて一人でこねくり回しても突破口が見えない時、思い切って誰かに見せる事も重要です。
そこでダメ出しが入るとしても仕方の無い事。
様々な意見を聞いたり、もらったダメ出しを元に考えなおしていく強さもモノ作りには必要な要素です。
学生時代によく「誰にも見せないで、良い物に仕上げるなんてできない」と言われました。
本当にその通りで、自分が正しいとか、機能的だとか、カッコいいと思っているモノやカタチといったものは自身の主観でしかなく、客観的に見た時に実はそう ではなかったという事も珍しくありません。
自分の為に作るモノや、自己表現としてのモノ作りであれば、一人で黙々と作業し続ける事もいいでしょう。けれどデザインとなると話は別です。
デザインをする場合、依頼者となる相手(お客様)がいます。
今度行う講演会のポスターが欲しいとか、新製品を売りたいから宣伝したいとか、そういった要望に合わせて制作をスタートするわけですが、そこに自分はこの色が好きだからとか、こういう表現が得意だからとか、自分の好きな物をふんだんに盛り込んで、自己表現をした場合、相手の意図するイメージが伝わるのかと考えると疑問です。
基本的には相手のイメージや製品の持つイメージに合わせた表現が求められるので、自己表現の場とは違いますので、客観的な目線に立つことが重要です。
そこで参考になるのが第三者の意見。
自分だけではなかなか気が付けない事を見つけたり、そのモノ自体がより際立つ手法はないかといった検討を行う為にも、出来たら見せる・試してみる。こういう流れがとても重要になるのではないかと思います。
また、自分一人の考えだけで挑むよりも、誰か一人の意見をプラスすれば二人で挑む事ができるので、有利に働く事が多いのではないでしょうか。
黙々と画面に向かって何かを作るだけではなかなか気が付かない事も多くあります。
一度何かに出力し、客観的に眺めるようにすると、もっともっと良い表現がみつかるかもしれません。