HTMLが変わらないけど、構築には工数がかかる
レスポンシブWEBデザインは、1ページを再現するのに1つのHTMLとCSSがあればできます。
対してスマートフォン用のページを設ける場合、1ページを再現するにはそれぞれに特化したHTMLとCSSが必要です。つまり倍になります。
単純に個数だけ見れば、レスポンシブWEBデザインで作った方がファイルが少ないです。マークアップする量も少なくなります。
ですが1つのHTMLで沢山あるデバイスへ汎用的に対応させるには、様々なデバイスでの検証や、調整を行いクオリティを保とうとすると、普通に2デバイス分を作るよりも手間がかかってしまいます。
レスポンシブサイトは運営側にメリットがあるWebサイト
レスポンシブWEBデザインで作る場合、1つのHTMLで様々なデバイスに対応できるように作り込みます。
例えばPC・タブレット・スマートフォン用に1つのページで3タイプを作り分けていた場合、作業量も公開後の更新も3倍の作業時間が必要になりますよね。
ですがレスポンシブWEBデザインならば、公開後の更新は1箇所の作業で済むので、1/3になります。
一見すると、更新が簡単になるから、Webサイトの構築も簡単になるようにみえるかもしれませんが、それは間違いです。
レスポンシブWEBデザインは制作側ではなく、WEBサイトの運用面で多くのメリットがあります。このことを制作側にメリットがあると勘違いしてしまうと、とても危険です。
スケジュールを立てる時に注意
例えば作業スケジュールを立てる時、作るのは1つのHTMLだけで良くて、マークアップする量が減るので、なんだかスグにできそうに見えますね・・・
なので画面のデザインはPC用に1日、スマートフォン用に1日、コーディングは1つのファイルだから1日とスケジュールを立てたとします。
でも実際は、1つのHTMLで様々なデバイスでも問題なく表示できるように作り込む必要があるので、高い技術が要求され、作業量自体も単純に2デバイス分とはなりません。
かなり大雑把な日数を例にあげましたが、この例の場合であれば、多少無理をすればなんとかなるでしょう。
しかし新規で100ページの制作案件だった場合は・・・大幅にスケジュールがずれ込み事が予想されますね。
規模が大きな案件の場合、作業にかかる日数を間違えて認識していると、納期に間に合わない可能性が高くなります。さらに長期のスケジュールとなると判断が難しくなり、スケジュールの後半になって「間に合わない・・・?」と気が付きます。
もしも力業でなんとか間に合わせたとしても、対応しきれていないデバイスが出てくるでしょう。
もしかしたら運用面でも変更が難しくなってしまっているかもしれません。
通常通りにPCサイト・スマートフォンサイトをそれぞれデザイン、制作する場合は工数が単純に1+1=2として見積もれます。
ですがこの考えをレスポンシブサイトにも当てはめてしまっては、レイアウトデザインに充てる時間が足りなくなってしまうかもしれません。
レスポンシブサイトの作り方や特長、クセを理解していても、横幅を大きく使うようなグローバルナビやパンくずリストの見せ方について、画面サイズが変わった時の表示を確認しながら進めるため、設計に時間がかかる場合が多いからです。
さらに複雑なレイアウトを要求されている時は、どうしても画面幅が狭くなった時に文字が収まらなかったり、画像が小さくなりすぎて文字がつぶれたりと・・・調整に時間がかかってしまいます。
なのでレスポンシブサイトの制作は1+1=3以上となってしまう可能性が高いのです。
Webサイトの表現としてレスポンシブWEBデザインを採用する時には、独立したPCサイトとスマートフォンサイトのレイアウトデザインにかかる工数を安易に考えるのは、動き出した後から問題が出てきたりしてしまう要因となるので、Web制作に関わる人を集めて確認をする事や、Webサイトの仕様をきちんと決めておくことが重要になります。
まとめ
作る「モノ」が少ないからといって、作業にかかる時間やコストも少なくなるという認識でいるととても危険です。
動きだしてから間に合わない・・・と気が付くのは手遅れですね。
事前にどのくらいのスケジュールを確保すべきなのか?このスケジュールで間に合うのか?といった事を携わる人全員でチェック・打ち合わせする時間を必ず設けましょう。
各人の認識とチームワークを高め、連携をとってあたりましょう。