誤用の多い「させていただく」
「〇〇させていただきます」という使い方は良く耳にします。丁寧な話し方に聞こえるのですが、使う場面を間違えてしまうと思わぬトラブルになる事もあります。
メジャーな言い回しですが、誤用も多い日本語の一つです。
「相手から許可を受けている場合」と「自分が恩恵を受ける場合」に使う
「させていただく」という言葉は「させてもらう」の謙譲表現です。相手の許可を得て自分の行為(動作)を遠慮しながらさせてもらうという意味になります。またその行為(動作)によって、自分が恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合に使うのが正しいとされています。
たとえば「訪問日を変更させていただきます」という使い方をする場合。
訪問する日を変更するためには「相手の許可(了承)」が必要ですね。
また変更する事によって「自分が恩恵を受ける」ので、正しい使い方といえます。
「させていただく」は敬語なので、目上の相手やお客様に対しても使うことができます。
それでは「ご挨拶させていただきます」という使い方はどうでしょうか。
挨拶をする事については相手の許可が必要な事ではありませんし、挨拶をする事で恩恵を受けるとも言い難いです。
「ホームページを検索させていただきます」も違いますね。
インターネット上に公開されているものですし、検索する事に許可は特に必要ではありません。
相手からの許可が必要ではないシーンでは使わない方がいいかもしれませんね。
「相手の許可を得る」事と「遠慮する気持ち」の2点に注意すれば、上手に使い分けることができそうですね。
漢字では表記しない
「させていただく」の「いただく」は、漢字で頂くと表記しません。漢字で頂くと表記する場合は「食べる・飲む・もらう」の謙譲語の時です。
例えば「食事を頂く」「贈り物を頂く」などですね。
ひらがなの場合は、「お越しいただく」など、補助動詞として使う場合に表記します。
そのため「させていただく」はひらがなで表記します。
「いたします」に言い換えてみても良い
あまりにも「させていただきます」を使い過ぎても逆に失礼な印象になる場合もあります。また、相手の許可が必要ない事柄の場合には何がいいのだろうか悩んでしまいますね。
そういった面では「させていただきます」を「いたします」と言い換えてみるのも良いかもしれません。
「確認いたします」「ご説明いたします」
充分丁寧な言い方になりますね。
「させていただく」を使い過ぎるとくどくなるので、場合に合わせて「いたします」を使うとスッキリとした言い回しになり、敬意も表す事ができます。
使い方や表記に注意して、その場に合った言い回しに注意
日本語は表現が非常に多い言語です。それだけ気持ちの表し方や相手への敬意の表現が豊かなのですが、多いとどれがベストなのか難しいので悩むこともありますね。
よく耳にするからとか、知っている丁寧な言葉を並べればよいという物ではなく、どういう使い方があるのかを調べてみると、新しい発見があったり過去の間違いを知るきっかけになりそうです。
私も漢字では表記しないという事を初めてきちんと知る事ができましたし、「させていただく」という表現にずっと違和感があったのでスッキリする事ができました。
日本語という表現豊かな言語をきちんと使い、様々な表現で相手へ言葉や気持ちを伝えていけたら素晴らしいなと改めて思いました。