ウェブ制作における再発防止策

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こんにちは、ディレクターの小川です。以前、ISMSの構築と運用に携わっていた経験があります。ISOのマネジメントシステムに関わると、自然と継続的改善や再発防止の意識が身につきます。私もこれまでに多くの報告書を作成してきましたが、自分のミスだけでなく、チームメンバーのミスについても、第三者の視点で報告書を作成することがありました。今回は、再発防止について共有したいと思います。

身近なミスから学ぶ再発防止の重要性

ウェブ制作に携わっていると、「リンク先のURLが間違っていた」「画像が適切に表示されなかった」「重要なファイルをサーバーにアップロードし忘れた」など、誰もが一度は経験するミスが発生します。これらのミスは一見小さなものに思えるかもしれませんが、クライアントやユーザーに大きな影響を与えることもあります。

松本くん: 「稲葉ぁ~、おんめまーたやったな。なーしてリンク先のURLを間違えんだて!なんべん注意せば分かるんだ?」

稲葉くん: 「すみません、確認不足でした…。以後、気をつけます。」

松本くん: 「気をつけますじゃねんだて!これで何度目ら!おめえのたるんだ態度がこんげミスおこしてんだろがや!」

稲葉くん: 「はい…本当に申し訳ありません。もっと注意して作業します。」

松本くん: 「注意なんか当たり前らろ!徹底的にせって言ってるんだ。次はねっけな、分かってんろな?」

新潟のWeb制作会社での出来事

この会話例では、松本くんが稲葉くんを叱責し、ミスを個人の注意力不足として片付けようとしています。しかし、このような対応では、根本的な問題解決にはつながらず、再発防止には不十分です。結果的に、稲葉くんのモチベーションが下がり、組織全体の成長が阻害される可能性があります。

このように、ミスを単なる「人為的なミス」として片付けるのではなく、その背景にある根本原因を分析し、再発を防ぐための具体的な対策を講じることが重要です。本記事では、具体的な防止策に加えて、mSHELL分析やなぜなぜ分析、ヒヤリハットの重要性についても触れていきます。

ミスは起きるものと考える

ウェブ制作の現場では、ミスは避けられないものです。先程の例のように、チームのメンバーがリンク先のURLを誤って設定してしまい、ユーザーがアクセスできないページに誘導されるミスが起こったとします。このようなとき、上司が「たるんでいる!」と叱責したり、「次は絶対にミスしないようにしろ」と精神的な努力を強いるだけでは、再発防止には不十分です。

このアプローチでは、ミスの根本原因が解決されないまま残り、同じようなミスが繰り返されるリスクが高まります。例えば、URLの入力ミスが頻発するのであれば、手作業に頼りすぎている可能性が考えられます。問題の解決策として、ツールの導入や手順書の改善、チーム全体でのダブルチェック体制の強化など、具体的な対策を講じることが求められます。

精神的なプレッシャーを与えるだけでは、ミスを防ぐ効果は一時的であり、根本的な問題解決にはつながりません。むしろ、ミスを繰り返すことを恐れて、チーム全体の士気が低下するリスクもあります。その結果、組織の成長が遅れ、クリエイティブな発想や挑戦を抑制することにつながる可能性があります。

そこで、再発防止策として有効なmSHELL分析となぜなぜ分析を紹介します。これらの手法を活用することで、ミスの根本原因を多角的に把握し、組織全体での再発防止策を効果的に実施することができます。

mSHELL分析とは?

mSHELL分析は、ミスの根本原因を多角的に分析するためのフレームワークです。以下の5つの要素に分けて、ミスの原因を探ります。

  • m(man):人(作業者)のスキル、知識、注意力などに関する要素。
  • S(Software):ソフトウェアやシステムに関する要素。使用しているツールやプログラムの設計、設定ミスなど。
  • H(Hardware):ハードウェアや設備に関する要素。デバイスの故障や性能の問題など。
  • E(Environment):作業環境に関する要素。オフィスの環境やチームのコミュニケーションなど。
  • L(Liveware):人間関係やチームの組織構造に関する要素。チーム内での役割分担やリーダーシップなど。

なぜなぜ分析の有効性

なぜなぜ分析(5 Why分析)は、問題が発生した際に、その根本原因を明らかにするための効果的な手法です。問題が起こったときに「なぜ?」を少なくとも5回繰り返して問うことで、表面的な原因ではなく、根本的な原因にたどり着くことができます。

例えば、ウェブページの更新が反映されなかった場合、なぜなぜ分析を以下のように適用できます。

  1. なぜ 更新が反映されなかったのか?
    → キャッシュがクリアされていなかった。
  2. なぜ キャッシュがクリアされていなかったのか?
    → 作業手順にキャッシュクリアの手順が含まれていなかった。
  3. なぜ 手順に含まれていなかったのか?
    → 手順書が最新ではなかった。
  4. なぜ 手順書が更新されていなかったのか?
    → 手順書の更新が定期的に行われていなかった。
  5. なぜ 更新が定期的に行われていなかったのか?
    → 手順書の管理体制が整っていなかった。

このように、なぜなぜ分析を行うことで、問題の真の原因に迫り、それを解決するための具体的な対策を見つけることができます。この分析を前述のmSHELLの分類で行うとよいでしょう。少なくとも「以後気をつけます」や「徹底します」よりはよっぽど説得力のある再発防止策となります。

ヒヤリハットを見逃さず蓄積することの重要性

ミスが実際に発生する前に、「ヒヤリハット」と呼ばれる危うくミスになりそうだった瞬間があります。これらを見逃さず、日頃から蓄積しておくことは、再発防止において極めて重要です。ヒヤリハットは、大きな問題に発展する前のサインであり、それを記録・共有することで、未然に防ぐための有効な手がかりとなります。

例えば、ある作業中に「この操作、少しでも間違えたら大きなミスになるかもしれない」と感じた瞬間があれば、それをチーム内で共有し、対応策を検討することが大切です。mSHELL分析と組み合わせることで、ヒヤリハットが何故起こったのか、どうすれば防げるのかをさらに深く理解することが可能です。

まとめ

ウェブ制作の現場では、ミスは避けられないものですが、重要なのはその後の対応です。個人を責めたり、精神的な努力を強いるだけでは、根本的な解決にはつながりません。mSHELL分析やなぜなぜ分析、ヒヤリハットの蓄積といった手法を活用することで、ミスの背景にある原因を多角的に捉え、組織全体で再発防止に取り組むことができます。

これにより、同じミスが繰り返されるリスクを減らし、チームの士気を保ちながら成長を促進することが可能です。再発防止策は単なる対策ではなく、組織の持続的な成長に欠かせないプロセスです。「今夜月の見える丘に」立って、静かに振り返りながら、これからも改善を続け、より良いウェブ制作環境を築いていきましょう。

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