Webページも紙面も同じグラフィックデザインですし、紙面と同じ感覚でデザインしてしまいがちですが、それではうまくいきません。
紙面の場合は印刷をしてしまえば表示が崩れてしまうことはありません。
印刷後に写真を差し替えたいと思うと、作業データを編集して再度印刷をかけることになります。
あらかじめ完成された物を目で見ているわけです。
ところがWebは違います。
見る人のブラウザによって表示が変わってしまったり、中に入れるコンテンツ量も編集出来てしまいます。
「Webページのデータ」がWebサーバー上にあって、それを都度読み込みに行って、画面上に構築しています。
材料と設計図を基に、毎回あなたのパソコン・スマートフォンが組み立てた物を目で見るというわけです。
工作をする時に作り手が変わると微妙な差がでるのと同じで、パソコンの環境やブラウザが変わると、再現に若干の差がでてしまいます。
印刷物の場合は印刷後に出た物は誰が見ても同じ物が見えますが、Webページの場合は表示する環境次第で表示が微妙に異なる。これが大きな違いです。
例えば要素を3列並べて配置した時、さらに上下に線を描いた場合、印刷物であれば要素の下線を完璧に揃えて作り込むことができますが、Webの場合では中に入る書体の大きさがパソコン・ブラウザによって解釈が若干異なる事があります。
なので収まりきらなくて下線がきちんと揃わない・・・という事が起きてしまいます。
さらに文字化けをしてしまう事もありますね・・・
発色も同様で、Webページの場合は環境によって変わってしまいます。
モニターの設定や性能、経過年数による画面焼けなど、様々な要因から色合いが変わって見えてしまうこともあります。
また字詰めも同様です。
紙面の場合であれば0.00ミリ単位で調整し、再現できますが、Webでは難しいのです。それはデジタルだから・・・
パソコンの画面は小さな点の集合です。そのひとマスをピクセル(px)と呼びます。
このピクセルよりも小さな値、例えば0.5pxを設定したくても、そんな描画はできません。
なので表示の細かな調整が非常に難しい分野になってしまうんです。
細かい事を言えば印刷物も電子顕微鏡か何かで拡大すると、点の集合であることが分かりますが、こちらは印刷機の性能次第で細かな点を打つことができます。
そのきめ細かさが綺麗な曲線を出したり、微妙な位置の調整の再現を可能にしてくれているんです。
きめ細かさ・・・つまり解像度を上げればいいのでは?と思うかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。
解像度を上げれば1mm四方に収めることのできる色数が増えます。なので綺麗に印刷をすることができます。
でもパソコンの画面の場合では収まっている色を発する点の数が製造段階で決まっています。
そしてその点は一色しか発色しません。つまり限度があるんですね。
この辺りは過去の記事で詳しく紹介しているので、こちらの記事を参照してみてください。
https://www.attend.jp/desine_170307
Webページの場合、表示する画面やブラウザによって表示が異なります。
その差を極力抑え、どの環境で見ても同じに見えるようにCSSでデザインを整えていくわけですが、それでもあまりにも古いブラウザやOSでは正しく表示できない・・・という事も起こってしまいます。
古い物に対応すべきと思うかもしれませんが、そもそも古いブラウザはサポートが切れてしまっていて、セキュリティ面で非常に危険な状態です。
Webページを見る、つまりインターネットに接続する以上、セキュリティ面には気を使うので、そもそも表示対応をする必要が薄いという訳です。
こう書くとデジタルなWebページの印象が悪くなりそうですね・・・
Webの環境も4Kなどの高解像度ディスプレイの登場で各段に綺麗に描画できるようになりましたし、これからの技術発展でピクセルという単位もなくなるかもしれませんね。
紙面と同じようにメートル法を使う日もくるかもしれません。
何よりWebページはWebサーバーにアップするだけで広範囲の人に見てもらう事ができます。
これは紙面には無い利点です。
紙面の場合は印刷し、配布地域に輸送し、配布する・・・といった具合に時間がかかってしまいます。
さらに1万部を印刷した後に間違いが見つかったとしても、もう印刷した物は変更ができないので、破棄するか、間違いの上から修正シールをコツコツと貼る・・・という途方もない作業をしなければなりませんが、WebページならばWebサーバーに接続してデータを編集してしまえば修正がすぐにできます。
このスピードが大きく異なるのも魅力ですね。
印刷物とWebページにそれぞれ一長一短あります。
どちらがより優れているか?ではなく、どちらを使えばベストなのか?
サービス展開やプロモーションをする上でより効果があるのか?という観点から何のメディアを選択するのかを決めるようにしてみてください。