業界とカタカナ語
情報を扱う業種において、日常的に飛び交うカタカナ語。あれっていったいなんなんでしょうね。
常々「日本語で言ってくれれば理解できたのに…」と思うこともしばしば。コミュニケーションは相手に理解してもらうことが必須、本来何か伝えたい意図があって発言しているのに、わざわざカタカナ語を使うことにどんなメリットがあるのでしょうか。そのカタカナ語を使いたいだけとか意識が高いように思われたいのかななどと、つい思ってしまいます。
なのに巷では「知らないと恥ずかしいビジネス用語」とか「ビジネスマン必須」だとか目にしますよね。確かに自分自身は使わなくても相手の方が使われたら、理解する必要がありますので覚えなくてはいけません。言ってしまえば余計な労力です。また、日常的に使われている環境下では必然的に覚えますので、意図せず使ってしまう場合もありますよね。
どうして使いたがるのか?
カタカナ語のほうが相手に理解を得やすい、伝わりやすいとかならわかりますが、そうでないもののほうが多い気がします。それでも使うには意味があるのかとググってみても、「かっこつけてる」とか「便利」とか…。確かにプレゼンテーションなどの場面においては、理解を得やすい言葉も必要ですが、そうでないものを利用することでより立派に見せたり、当たり前のことに価値を付けるなどできるのかもしれませんね。また日本語で「問題解決」と使うよりも「ソリューション」のほうが使い勝手がいい場面も多いのかもしれません。
場面や相手などの環境に応じて使い分けることで、より期待した結果が得られるということであれば、ただ思っていることを発言する方と比較では意識が高いかと思います。そのような比較に価値を感じるかどうかは別としてですが。
伝わっている?
いずれにせよ、本来の意味や別の伝え方など正しい理解を持ったうえで目的をもって選択してカタカナ語を使っているのであれば、まだ納得できるのですが、そうでない場面やなんですかそれ?的な場面は、本来の伝えるという意図を無視してただ使いたいだけで発言している印象が強くなりますよね。発言することでこちらの思っていることに理解や同意を得たい場合や、意図した行動を促すなどが目的であれば、そこでカタカナ語を使う使わないの判断が必要になりますし、それで相手をポカーンとさせたり不快にさせたらその判断を誤ったことになるでしょう。
情報量が増えているだけじゃない?
日本語で伝わり目的を果たせるのであれば使う必要がないだけでなく、カタカナ語とその意味の二つを記憶する領域、出力する情報量などの無駄遣いでしかありません。カタカナも漢字も日本語ですので情報量は2バイト/文字(文字コードで変わります)。これらを比較してみましょう。
カタカナ語 | データ量(バイト) | 日本語 | データ量(バイト) |
---|---|---|---|
アカウンタビリティ | 18 | 説明責任 | 8 |
アグリー | 8 | 支持 | 4 |
アサイン | 8 | 割当 | 4 |
アジェンダ | 10 | 計画 | 4 |
アジャイル | 10 | 俊敏 | 4 |
アセット | 8 | 資産 | 4 |
アプローチ | 10 | 接近 | 4 |
アライアンス | 12 | 提携 | 4 |
アルゴリズム | 12 | 算法 | 4 |
イシュー | 8 | 課題 | 4 |
イニシアチブ | 12 | 主導権 | 6 |
イノベーション | 14 | 革新 | 4 |
インセンティブ | 14 | 歩合 | 4 |
インバウンド | 12 | 内向き | 6 |
インフルエンサー | 16 | 影響者 | 6 |
エビデンス | 10 | 証拠 | 4 |
オーソライズ | 12 | 認可 | 4 |
オルタナティブ | 14 | 代替 | 4 |
グローバルスタンダード | 22 | 世界基準 | 8 |
コミット | 8 | 誓約 | 4 |
コンセンサス | 12 | 同意 | 4 |
コンプライアンス | 16 | 法令順守 | 8 |
コーポレートガバナンス | 22 | 企業統治 | 8 |
サスティナビリティ | 18 | 持続可能性 | 10 |
スキーム | 8 | 仕組み | 6 |
スコープ | 8 | 対象範囲 | 8 |
ステークホルダ | 14 | 利害関係者 | 10 |
デフォルト | 10 | 基本的 | 6 |
ドラスティック | 14 | 過激な | 6 |
ナレッジ | 8 | 知見 | 4 |
ネゴシエーション | 16 | 折衝 | 4 |
バジェット | 10 | 予算 | 4 |
フィックス | 10 | 決定 | 4 |
フェーズ | 8 | 局面 | 4 |
プライオリティ | 14 | 優先順位 | 8 |
ベネフィット | 12 | 利益 | 4 |
ペンディング | 12 | 保留 | 4 |
マイルストーン | 14 | 節目 | 4 |
マター | 6 | 担当 | 4 |
マネタイズ | 10 | 収益化 | 6 |
メソッド | 8 | 方策 | 4 |
リスクヘッジ | 12 | 危険回避 | 8 |
リスクマネジメント | 18 | 危機管理 | 8 |
リスケジュール | 14 | 予定変更 | 8 |
リテラシー | 10 | 読解記述力 | 10 |
リソース | 8 | 資源 | 4 |
ローンチ | 8 | 公開 | 4 |
データ量を比較すると、ここに挙げただけでカタカナ語の約半分程度で済みます(個人の意訳および感想です)。カタカナ語を頻発される方は約2倍の情報量を扱っているともいえるため、意識だけでなく能力も高いことがわかります。それだけにあふれ出てつい使ってしまうのでしょう。ですが、やはり場合に応じて使い分けることがその高い意識と能力を浪費せずに済みそうですね。