なんとなく自分でもできそうな気がしてくるかもしれませんが、現場で求められるスキルは年々高度化している気がします。
それもそのはず、Webは完成された場に見える事がありますが、実はまだまだ発展途上です。
数年前までは対応する必要の薄かったものや、存在しなかったものまで・・・様々な物があります。
Web制作をする時に考えるべき事が増えていますが、それはどこにあるのでしょうか。
対応しなければならない端末が増えた
私がWeb制作を初めて学んだのは10年くらい前でしょうか・・・そのころはホームページはパソコンで見る物という印象が強くありました。
携帯電話でも見る事が出来ましたが、当時はフィーチャーフォン(ガラケー)が主流の時代でした。
もちろんガラケーでも閲覧できるWebサイトも存在していましたが、ガラケーの能力が低く、大きな写真が表示できなかったり、レイアウトを操作するCSSの読み込みが機種によってできなかったりしたので、ページもかなり簡素になっていました。
ガラケーと一括りにしても、その中で更にキャリアによって動作が異なったり、読み込みできる容量・・・本体のメモリに差があるなどの問題もありましたが、どの機種でも複雑なレイアウトをする事ができなかったので、一つの型を作れれば背景色や文字色の変更などといった少ない時間で対応する事ができました。なのでパソコンでの表示に注意していれば良かったんです。
パソコンでもブラウザ毎に挙動が違うとか、IE6だけでうまく動かないとか・・・そんなブラウザ対応の問題もありましたけれど・・・
今では対応するデバイスがパソコン・タブレット・スマートフォンと、3つの端末になりました。
テレビやゲーム機でもインターネットに接続してホームページを見る事ができるので、場合によってはこれらにも対応させる必要があるかもしれませんね。
こういった様々な端末に対応させるにあたって、ガラケー用は専用にWebページを設けるといった当時の流れから、スマートフォン専用ページを作る手法が主流でしたが、それではメンテナンス性が悪い・運用や管理が大変という事もあって、レスポンシブWEBデザインが主流になりつつありますね。
このレスポンシブWEBデザイン。完成後の運用は確かにシンプルになります。
1つのファイルを編集するだけで、様々なデバイス用のレイアウト配置のWebサイトにも同じ情報を反映させることができますから。
もしそれぞれ専用にWebサイトを設けていたら、情報を更新しようとした時にはPC版を直して、スマートフォン版も直して、タブレット版も直して・・・と対応させている端末の数だけ作業が必要になります。それに作業箇所が増えると、間違いの原因にもなります。
更新するにしても、初期制作をするにしても、対応すべき端末が1つ増えましたね。
更に携帯端末の能力の向上もあり、パソコンと同じWebサイトの情報を扱う事ができるので、ボリュームが増しました。
端末数だけで見れば1つしか増えていないように見えますが、能力で見ればパソコン版サイト3サイト分になります。
対応しなければならない機器が増え、それに要求される能力も各段に向上しているので、作るにも動作検証をするにも時間的なコストが肥大化しています。
レスポンシブサイトの主流化
運用が便利になるレスポンシブサイトですが、仕組みの作り込みにはパソコンだけに対応させる場合と比べて3倍以上の労力がかかります。
レスポンシブWEBデザインとは、1つのページで様々な端末に対応させる為の汎用的なWebサイトのデザインです。
ビジュアル的な物のイメージは変えませんが、レイアウトや文字の大きさ、ナビゲーションの表示などをCSSを切り替える事でそれぞれの端末でも難なく閲覧できるように作り込む手法です。
この「1つのページで対応させる」という部分が重要で、パソコン用の配置・タブレット用の配置・スマートフォン用の配置と、画面の大きさが全く異なる端末でも見る事が出来る様にするには、高いデザインスキルと、コーディングスキルが求められます。
また、一言でタブレット・スマートフォンと言っても、画面の大きさは様々です。
手元にあるスマートフォンの画面以上に大きな画面を持つスマートフォンもありますし、今後の動向次第ではどんなサイズが発売されるかわかりません。
それらにも対応させるために、画面幅が変わっても表示が崩れないように作り込むのはなかなかに骨が折れます。
それだけチェックにも時間がかかってしまいます。
スマートフォンと大別される端末での表示はおかしくないか?表示崩れはないか?など、確認したり考える事が増えています。
各種SNSとの連携
TwitterやFacebookが爆発的に広まり、企業でも導入してキャンペーンやイベント告知などの様々な事に利用されています。またinstagramも人気ですね。
Webサイトに埋め込んで、新着情報の様に使ったり、SNSを使っての活動も知らせるのにも利用されている方もいるかと思います。
他にも「いいね」ボタンの設置とか「Google+」ボタンの設置とか・・・様々なSNSとの連携も考えられますね。
こうしたSNSとWebサイトの連携は、昔には存在していませんでした。
これからも新たなサービスが登場したら、それもまたWebサイトと連携する必要が出てくるかもしれませんね。
まとめ
数年前と比べると、インターネットブラウザ毎のクセや能力の差は小さくなりましたが、対応させなければならない端末の数や能力が増えてきました。
それだけ設計段階で考える事や、デザインの難易度、構築にかかる作業時間など、時間的なコストは大きくなっています。
以前から増え行く工数を補うために、HTMLやCSSをスピード感を持って書く事のできるツールが考えられています。
確かにそれらは肥大化した手間を減らすことに貢献していますが、扱うには知識や環境が必要となる事が前提となります。
何年も前はtableを使ってレイアウトを配置していた時代もありましたが、それでは今のホームページ制作には不向きです。
現在ではdivを使って、CSSで配置をしていますが、これもまた数年後にはどうなっているかわかりません。
こうした移り変わりに悲観的になるのではなく、柔軟に対応していけるように在りたいものです。
そうなるとまた制作する時に考えなければならない物事が増えていくのでしょう。
便利を享受する裏側には、制作にかかる多くの「時間」というコストが隠れているんですね。