文字を目立たせるデザイン
Webデザイン、紙面デザインをしていると、「一部の文字を他と差別化させて目立たせたい」といったご要望をよくいただきます。
その時に「太字で」「赤字で」とご注文いただくのですが、面白いように皆さん同じことをおっしゃいます。
ですが、デザインによっては「太字や赤字が合わない」「太字・赤字にしても目立たない」といった場合もあるので、悩みの種のひとつです。
そもそもなぜ、その部分を太字や赤字にしたいのかを考えてみると、「他の情報より優先度を上げて、閲覧者の目に留まるようにしたい」という事が根本的な理由であることがわかります。つまり他と「差別化を図りたい」と考えているのです。
この根本を解決できれば、別に「太字」「赤字」にこだわることなく、他のアプローチをとってもいいんです。
文字を目立たせるにはジャンプ率を変える
一部の文字のみを他と差別化させ、目立たせるには、他の文章との違いをワンポイントのアクセントをつけることで優先度の差が目で見てわかるようにしてあげればいいわけです。
アクセントの付け方は、
・色を変える
・太さを変える
・文字サイズを変える
・上下に余白を付ける
・背景に色や画像を入れる
・アイコン画像を付ける
・縁取りをする・・・etc
このように目で見て、他との差がわかるようにするには、様々な手法がありますね。
この「差」をデザインでは「ジャンプ率」なんて言われています。
それでは次にジャンプ率について実際に見てみましょう。
ジャンプ率が高い例
文字のサイズでジャンプ率を見てみましょう。
一行目とそれ以降の文字サイズの差を使って、ジャンプ率を付ける事で印象がかわります。
文字のジャンプ率を高く(大きく)すると、
・大衆的
・行動的
・ダイナミック
・若々しい・・・
といった印象を文字に与えられるので、見る方にインパクトや強い印象を与えることができます。
主に新聞や、週刊誌、若者向けの雑誌等はジャンプ率の高い文字が多く見受けられますね。
ジャンプ率が低い例
文字のサイズでジャンプ率を見てみましょう。
一行目とそれ以降の文字サイズの差を使って、ジャンプ率を付ける事で印象がかわります。
逆にジャンプ率を低く(小さく)すると、
・知的
・保守的
・信頼
・大人っぽい・・・
といった印象が与えられるようになります。ゆったりした雰囲気になりますので、年齢層が高い雑誌や、専門書に適しています。
例えばスポーツ新聞を例にとると、駅の売店で購入する方が多く、道行く人々の目を引くためにキャッチャーなゴシップ記事を多く掲載します。
売り場で人の目を引くように、ジャンプ率を以上に高くしてインパクトのある記事に仕上げる必要があります。
逆に専門雑誌など定期購読がメインになるものは、ぱっと見で目を引く必要がありません。
また、掲載されている情報の信憑性や公平性が重要なので、ジャンプ率の高い派手な文字を多く使ってしまうと逆効果となることがあります。
多用しすぎると逆に優先度が下がって見える
「あの情報も目立たせたい」「この情報も重要!」と思ってなんでもジャンプ率を付けてあげればよい。ということはありません。
全ての文字を同じように装飾してしまうと、どの文字も同じくらい優先度が上がります。結果、どの文字も差がなくなってしまうんです。
ジャンプ率の付け方の悪い例です。
というよりも、この枠内の文字にジャンプ率がついていません。
どの文字も同じ装飾がはいり、「差」がなくなってしまっていますね。
これでは何を伝えたいのかが不明確になってしまいます。
文字のサイズの他にも太字にした場合も同様です。
というよりも、この枠内の文字にジャンプ率がついていません。
どの文字も同じ装飾がはいり、「差」がなくなってしまっていますね。
これでは何を伝えたいのかが不明確になってしまいます。
どちらも、グレーの枠内の文字だけを見てみてください。
同じ装飾がはいり、ジャンプ率がなくなってしまっています。
このように、目立たせたい部分をなんでも「太字」にしたり、「文字サイズを大きく」したところで、ジャンプ率がなくなったので逆に見づらく、目立たなくなってしまいます。
ほどほどにジャンプ率を付けるから目立つ
なんでも目立たせたいから装飾をしてしまっては、逆に埋もれてしまいます。
ほどほどにジャンプ率の付いた文字が登場するから、その一部が目立ち、目を留める事につながるんです。
目に留めてほしい情報をきちんと整理して、優先度をつけるようにしましょう。
なんでも詰め込み過ぎはよくありません。
まとめ
・「太字・赤字にしたい」といった要望の背景を考えてみよう
・ジャンプ率を付けて、文字を目立たせたり、印象を与えよう
・ジャンプ率の高い(大きい)ものは「大衆的・行動的・ダイナミック・若々しい」といった印象を与える
・ジャンプ率の低い(小さい)ものは「知的・保守的・信頼・大人っぽい」といった印象を与える